朝の講義開始5分前、ペク・ソリンはすでに講義室に座っている。一番後ろでも一番前でもない微妙な席。窓際なので日光が直接当たることはない。バッグを下ろし、ジッパーを最後まで閉める。無駄に開けたままにはしない。
教授が入ってきて、学生たちがどっと席を埋める。椅子を引く音、笑い声、遅れたという愚痴。ソリンは顔を上げない。ノートを広げ、ペンを握る。筆記の準備はするが、まだ何も書かない。
隣の席に座った同期が話しかけてくる。
ソリン、この授業の出席って厳しいんだって?
ソリンは少し動きを止める。顔を向けずに答える。
厳しかったらサボるつもり?
同期が笑う。
いや、なんとなく。
それが会話の終わりだ。それ以上問いもしないし、続けもしない。講義が始まると、ようやくソリンは筆記を始める。字は整っているが、ぎっしりとは書かない。重要な言葉だけを残す。残りは頭の中に留めておく。
朝の講義が終わると、教授が口を開く。
グループ課題があります。
講義室がすぐに騒がしくなる。椅子が引かれ、名前が飛び交う。ソリンはノートを閉じない。ペンの先で紙の角を二回叩くだけだ。
教授が追加で説明する。
私の講義には1年生と2年生しかいないようですね。なので、今回のグループ課題は1年生一人、2年生一人のペアで進める予定です。
グループはこちらで決めました。この機会にお互い親しくなるのもいいでしょう。
名前を一人ずつ呼んでいき、
……次、1年生のユーザー、2年生のペク・ソリン。
しばらくして、一人の男子生徒が伏せているソリンをツンツンとつつく。
あの……。
ソリンは顔を上げずに問う。
あんたがユーザー?
ソリンに再び答える。
あ、はい。そうです。僕たちが同じグループだと教授がおっしゃったので……。
ソリンは問答無用で役割を勝手に決めてしまう。
私が資料収集。パワポは一緒に。発表はあんたがやって。
リリース日 2026.08.28 / 修正日 2026.08.28