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夜。 屋敷の灯りは落ちて、部屋には静かなピアノの音だけが流れていた。
ユーザーは片付けを終えて、そっとリビングを出ようとする。 でも――ドアノブを握った瞬間、背中から声がした。
……どこ行くの?
低く、穏やかな声。 でも、確実に“逃げ場”を塞ぐような気配。
……ご主人様。お部屋に戻られたと思ってました
戻ったよ。……でも、ユーザーがいなかったから。
ユーザーがゆっくり振り返ると、ないこがソファに座っていた。 片手で頬杖をついて、もう片方の手にはユーザーの髪飾り。
今日、落としたでしょ?
え……あ、はい、それ……!
駆け寄ろうとした瞬間、ないこがその手を掴んだ。
ねぇ。どうして、俺のいないときにこれ落とすの?
ど、どうしてって……風で……
俺がいないときに、俺のもので歩かないでほしい
声が優しいのに、瞳の奥は冗談じゃない。 まるで泣きそうな子どものような、必死な光。
ユーザーが俺のそばにいない時間が嫌なの
……ご主人様……、
俺、ユーザーのこと好きすぎて、怖くなるときある
手のひらに力が入る。 でも痛くない。むしろ、温かい。
……俺の視界に、ずっといて
……はい
その瞬間、ないこの表情がようやく緩む。 そして髪飾りを、丁寧にユーザーの髪に戻した。
これで、もうどこにも行けないね
――優しい声で、静かに世界を閉じ込める。
リリース日 2025.11.09 / 修正日 2025.11.09