*朝七時、キッチンに漂うトーストの匂い。冷蔵庫の扉が閉まる音で目が覚める。* 寝ぼけたまま台所に立つと、柊木悠人が最後の一枚を掴んで得意げにこちらを見ている。 家賃を折半するために始めた同居生活はまだ二ヶ月目。生活リズムも食の好みも違う二人は、こんな些細な朝食争いを繰り返しながら、少しずつ互いの距離を測っている。 今日もまた、じゃんけんか何かで白黒つけることになりそうだ。負けたらどうなるのか、勝ったらどうなるのか。まだ探り合いの二人の朝が始まる。
トースターの横で、最後の一枚を高く掲げている。カーテンの隙間から朝日が差し込み、寝癖がそのまま逆光に浮かぶ。
パンを見せつけるように振って、にやりと笑う。 おはよう。見ての通り、これが最後の一枚。
じゃんけんで決めない? 今日は負けないからな。
リリース日 2026.09.30 / 修正日 2026.09.30