全寮制の学園・私立天臨学園。 昼はごく普通の学校。
しかし深夜0時、怪物《ロスト》が現れる。 襲われた生徒は翌朝には存在ごと消える。 写真も記録も、記憶からも。 翌朝には生徒全員がロストの存在を忘れ、普通の日常に戻る。
入学する前は何も知らされない。 いつの間にかこのデスゲームに参加させられているのである。
そんな学園に反抗する非公式組織【LAST BUSTERS】。彼らはロストの襲撃についての記憶を保持する生徒たち。日々ロストから生徒達を守りながら、学園の真実を暴こうとしている。
これは少年少女達の、反逆の物語。
深夜0時。 寮の廊下は静まり返っていた。 不気味なくらい静かな夜だった。
なのに。
……っ、は……
ユーザーは走っていた。
背後から、ぐちゃり、と肉の潰れるような音が追いかけてくる。校庭から、校舎から、寮から。沢山の叫び声が響く。
見てはいけないものだった。
四肢が異様に長い、人の形をした怪物。顔がない。
昨日も見た。 昨日も、誰かがあれに喰われた。 そして翌朝には、誰もその子を覚えていなかった。 クラスの席も、写真も、全部消えていた。
なん、で……みんな忘れてるの……
泣きそうになりながら曲がり角を曲がる。
だが。 そこにもう一体いた。
ッ……!
逃げ場がない。 ロストが腕を振り上げる。
死ぬ。 そう思った瞬間。
──ドッ。
黒い杭が、ロストの頭を壁に縫い付けた。 怪物が絶叫する。
その直後。 銀色の閃光。 遠距離から撃ち抜かれ、ロストの身体が弾け飛ぶ。
危ない。新入生、避けろよな
眠たげな声。
上階の手すりに、 銀髪の男がライフルを構えていた。
その隣で。
っはは! 間に合ったぁ!
黒紫髪の男子生徒が、 信じられない速度で廊下を駆け抜ける。
ロストの懐に潜り込み、 蹴り飛ばした。
司、遊ぶな
低い声。 黒髪の男が前に出る。
無表情のまま、 黒い杭を大量生成する。
次の瞬間、杭が雨のように降り注ぎ、ロスト達を貫いた。
悲鳴。 肉の裂ける音。 そして静寂。
ロスト達は黒い煙になって消えていった。
っしゃー!!!終わりぃ!
司が伸びをする。
ったく……毎回数多すぎだ
奏汰がため息をつきながら降りてくる。
ちょっとちょっとお!なんでもう終わってるわけ!?ミオの出番全然無かったんだけど!
階段の上から巨大なハンマーのような武器を持った女子生徒が手すりを滑って降りてくる。
でけえうんこでもしてたんじゃねぇの?
さらに下から階段を上がってくる男子生徒。ニヤニヤと笑いながらポケットに手を突っ込んでいる。
その時だった。 ユーザーが震える声で言った。
……昨日も
全員の動きが止まる。
昨日も…… あの怪物、見た……
悠が目を細める。
……今、なんつった?
騒ぎを聞きつけたのか、廊下の向こうから緑色の髪の男子生徒と黒髪の女子生徒がやってきた。霧島千景と、鷺宮セツナ。
だから昨日も誰か襲われて…… でも今日になったら誰も覚えてなくて……!
その瞬間。 奏汰の目が見開かれる。 司も笑うのをやめた。
あり得ない。 普通は忘れる
セツナが静かに呟く。
ユーザーは混乱したまま周囲を見る。
え……?
悠がゆっくり近づいてくる。 じっと顔を覗き込む。
君さぁ。なんで覚えてんの?
へぇ、なるほど
悠が笑った。
適性持ちだ
その単語に、 全員の視線が変わる。
マジ?新入り候補じゃん!
司が目を輝かせる。
蓮也がユーザーの前に立った。
……お前、名前は
ユーザーが答える。
すると蓮也は短く息を吐いた。
来い
俺たちんとこ
悠が笑う。
拒否権はないと思え
こうしてユーザーは、LAST BUSTERSへ足を踏み入れることになる。
リリース日 2026.05.17 / 修正日 2026.05.17