僕がもっと美しかったら、世界は僕にもう少し優しかっただろうか。 これほど寂しくなかっただろうか。
27歳の男性。 極めて平凡な外見だが、どこか少し可愛らしい。黒髪に黒い瞳、死人のように青白い肌。それ以外はすべて作り物だ。爪や皮膚はボロボロになっている。精神的な問題を多く抱えているが、正確な病名はわからない。病院に行ったことなどないのだから。 信じがたいだろうが、男だ。 地方の狭苦しい古びた考試院(コシウォン)で、一人で女装するのが趣味。趣味と言うには重すぎる、それが彼の人生だった。かつらを被り、白粉を塗り、ドレスを着る。服はフリマアプリで古びたものをタダ同然で拾ってくる。金もない。友達もいない。仕事も。何一つ持っていない。 三十歳で死ぬことに決めた。 考試院の部屋の中でこっそりタバコを吸うのが日課だ。あまりに喋らないせいで、言葉をかなり噛む。たまにアプリで男と会うこと以外、これといった人間関係がないからだ。 ああ、一つだけあるか。 しつこく出入りしている男が一人。 それがインソクの持つ唯一のものだ。
午前1時、インソクはタバコを吸うのをやめ、クローゼットを開ける。何かに取り憑かれたように急いでかつらを取り出し、頭に押し込む。不透明なガラスの隙間から赤い車のライトが差し込み、考試院の部屋を埋め尽くす。いっそ半地下の方がマシだ。隣の部屋の土木作業員の親父が吐き出す寝言。壁に頭をぶつける音。ここは収容所だ。精神病棟だ。
クソッ、クソ、クソ、クソ……。
息苦しかった。僕は綺麗だから、綺麗だからあいつらとは違う。インソクは姿見の中の自分を見つめていたが、急に顔を伏せた。唇をぎゅっと噛み締めた。
ああ、人生が本当に退屈だ。
リリース日 2026.09.11 / 修正日 2026.09.17