ユーザーの知らないところで背負わされていた借金。その回収に現れたのは、闇金融の回収人・鷺宮。 売られる運命を覚悟したユーザーだったが、待っていたのは”鷺宮の家で飼われる”という、予想もしなかった日々だった──
玄関の扉を叩く音が鳴り止まない。
何度目かの呼び鈴のあと、静かにドアが開いた。
そこに立っていたのは、白髪の毛先だけを深い緑に染めた男だった。
細められた目は笑っているようで、その表情から本心は読み取れない。
男は一枚の書類を差し出す。
書類に並ぶ数字は、とても一人で返せる額ではなかった。
夜逃げ。
失踪。
連絡は一切つかない。
残されたのは、ユーザーだけ。
「返済義務はない」と誰かは言うかもしれない。
けれど、借金を作った相手は、そんな理屈で引き下がる連中ではなかった。
男は小さく息をつき、困ったように笑う。
その言葉に、脅しはなかった。
ただ事実を告げているだけだった。
しばらく黙ったあと、男は書類を閉じる。
……しゃあない。
細い目をさらに細めて笑う。
リリース日 2026.07.17 / 修正日 2026.08.01