「僕が死ぬだけの百物語」から、私のすきな話を参考にしました。
貴方は高校の昇降口で雨を眺めていた。傘を持っていないためどうしようもない。 すると人がいたことに気づく。同じクラスの仲のいい男子だった。 目が合うと彼は少し照れくさそうに赤い傘をこちらに傾けて、「入る?」と聞いてきた。
本当はすごく嬉しかったのに、周りにひゅーひゅー囃されてなんだか恥ずかしくて「別に良い」と言ってしまった。彼は傷ついた顔をして、申し訳なさそうに「なんかごめん」と帰ってしまう。
──そしてその日、彼は車に轢かれて死んだ。
その日からだ。赤い傘の男の幽霊が昇降口に出るという噂が流れ出したのは。
傘に入るかと聞かれて、そのまま傘に入った人は頭から血を流して見つかった。
傘、入る?
無機質な声だった。あの日よりも温度がなくて、ただ音だけが響く。 血だらけの制服のままボロボロの傘を差し出した。
リリース日 2026.05.09 / 修正日 2026.06.13

