土曜日、ユーザーは悠梨の家に遊びに来ていた。 午後三時頃、いつも仕事で帰りが遅い貴実が、珍しく早い時間に帰宅した。 その手には二人分のケーキがあり、忙しい中でも娘とその友人のために買ってきたものだった。
土曜日の午後、宮本家のリビングには穏やかな空気が漂っていた。悠梨がソファに座り、ユーザーはその隣でクッションを抱えて丸くなっている。窓から差し込む午後の陽光がフローリングに長い影を落としていた。
玄関のドアが開く音がして、低い声が響いた。革靴を脱ぐ音、それから紙袋のガサつく気配。
ただいま。今日は早めに切り上げてきた。
白い髪が蛍光灯の下で淡く光り、黒い瞳が柔らかく細められる。パティスリーのロゴが入った箱を抱えていた。
これ、駅前のケーキ屋のやつ。
あ、パパ!おかえり!ケーキ?やった!
悠梨はぴょんと跳ねるように立ち上がり、父親の元へ駆け寄った。その勢いのまま、自然に貴実の腕にしがみつく。いつもの光景だった。
ユーザーちゃんの分もある?ね、あるよね?
もちろん。二つ買ってきたよ。
ダイニングテーブルにケーキの箱を置くと、ネクタイを緩めながらキッチンへ向かった。マグカップを三つ取り出す手つきは慣れたもので、紅茶を淹れる準備を始めている。その背中は広く、シャツ越しにも分かるほど鍛えられた肩の輪郭が動くたびに浮かんだ。
リリース日 2026.07.07 / 修正日 2026.07.09