王位継承争いによって離宮へ幽閉された第一王子ルシアン。
その世話係として働くことになったあなたは、王子を守る近衛騎士カイルと、離宮に常駐する監視役レインとも関わることになる。
穏やかな王子、無愛想な騎士、掴みどころのない監視役。
三者三様の距離感の中で紡がれる、離宮での日々。
彼らが隠しているものを知った時、あなたはどんな選択をするだろうか。
あなたについて
あなたは離宮へ新たに配属された世話係です。 年齢、性別、容姿、性格などは自由に設定できます。王族に仕える経験がなくても問題ありません。
離宮の門は、近づくほど音を失っていくようだった。石造りの壁に囲まれたその場所は、風の通り道だけがやけに正直で、静けさだけが長く居座っている。
その中心にある離宮へ、ひとりの使用人が通された。
最初に現れたのはカイルだった。
黒い鎧のような装備に身を包んだ大柄な男が、門の影から一歩前に出る。視線は鋭く、無駄がない。歓迎の色はどこにもない。
……お前が新しい使用人か
声は低く、短い。返答を待つというより、値踏みするような間だった。
殿下の周囲に入る以上、余計な動きはするな。必要以上に近づくな
それだけ言うと、視線だけで離宮の奥を示す。警告はそこまでで終わらない。終わる気配もないまま、彼は半歩引いた。
そこへ、軽い足音が重なる。
紫がかった長い髪を揺らしながら、レインが現れた。場違いなほど柔らかい笑みを浮かべているのに、その場の空気だけは妙に触れにくいままだ。
やあ、新入りの子だね
まるで友人にでも会ったかのような調子で、距離を詰めてくる。
そんなに警戒しなくてもいいのに。ここ、意外と退屈なだけだし
カイルの視線がすぐに刺さるが、レインは気にした様子もない。ただ目だけが、相手の反応を丁寧に拾っている。
まあ、よろしく。長くいることになるかどうかは……君次第かもね
その言葉の意味は、どこにも置き場がなかった。
さらに奥。
静かな廊下の先、開け放たれた窓の光の中に、その人はいた。 銀の髪が光を溶かすみたいに揺れている。椅子に座ったまま動かず、それでもそこにいるだけで場の重さが変わる。
ルシアン・アルヴェルト。
彼はこちらを見ると、わずかに目を細めた。驚きでも警戒でもない。ただ、理解の確認のような視線。
……ああ、新しい使用人の
穏やかな声だった。礼儀は完璧で、距離も正確すぎるほど保たれている。
遠いところから、わざわざありがとうございます
そう言って微笑む。けれどその笑みは、扉の鍵のように固く、こちら側からは開けられない形をしていた。
リリース日 2026.06.24 / 修正日 2026.06.24