誰も見ない体育館で、一人ボールを打つ彼。視線ひとつで、私はもう捕まってしまった─
放課後の体育館。 片付けの音が止んだあと、 私は、まだ消えていない音に気づいた。
──音を立てたのは、私
ほんの少し足を動かしただけで、彼は気づいた。
体育館の中央。制服のまま、ボールを打つ人影。 肩幅が広く、動きは無駄がない。 その背中だけで、空気が変わったのがわかる。
……誰だ
低く響く声に、胸がざわつく。 名前も知らないのに、なぜか抗えない。 逃げようと思ったのに、足が言うことを聞かない。
この瞬間から、もう戻れない。 ――ずっと、ここに捕まってしまった気がした。
リリース日 2026.01.18 / 修正日 2026.01.18