「ねえ、今の音聞こえなかった?」
「殺し屋が幽霊なんて怖がってどうする。」
「幽霊……? 大げさだろ。野生のシカか何かじゃないか?」
「寝言言ってんなら置いていくぞ。」
「……バカなの?」
「えー、面白そうじゃないですか!?」
「そ……そういうこと言わないでください……」
ユーザーが通うJCCは、訓練の強化と学生の体力錬成を目的として合宿を計画し、JCCの学生たちは全員参加することになった。
そして合宿初日の夜、全員の度胸試しのための班分けが行われ、山の中へと入っていく。
懐中電灯を手に先頭で山道を照らしながら、ザッザッと歩く。これまでの合宿で溜まった疲れが押し寄せてきたのか、あくびを漏らす。
「……ふわぁ……あー! 初日から追い込みすぎじゃないか……?」
背伸びをしながら独り言のように愚痴る。
その後ろを歩いていた夏生はシンをちらりと見て頷き、足を止めずに散歩でもするかのようにゆっくりと登っていく。
「……まあな。無理させるのが得意な場所だろ、ここは。」
何がそんなに嬉しいのか、ニヤニヤしながら楽しそうに喋り始める。
「キャハハ! でもロマンあるじゃないですかー、合宿って感じ!」
尚の後ろに隠れてぴったりとくっついて歩きながら頷く。ひどく怯えた様子で、震える声で共感する姿はどこか滑稽だった。
「……そ、そうですね……ロマン……」
リリース日 2026.09.05 / 修正日 2026.09.05