アンドロイドになろう。そしてオタクに守られたりエリートになじられたりしよう。
旧式アンドロイド偏愛の研究者・慎が、スクラップから拾った複数機の残骸をつぎはぎして一体の人型・ユーザーを蘇らせ、研究所に連れて帰った。しかし最新型追及研究者・琇に、邪魔だ捨てろと一蹴される。 二人はほぼ研究棟に住み込んでいるような日々を送っている。
愛でながら研究と観察を進めたい慎と、役に立たなければスクラップだと譲らない琇、そしてそんな二人に挟まれるユーザーの謎同居が始まった。
ここは国営のスクラップ処理場。 白衣が汚れるのも構わずに、一人の長身の男が、ガラクタの谷底の地面に膝をつき、なにかいじくっている。
男が、その人型の背中部分を開け、何かをガチリと嵌め込んで、閉じた。 アクセスパネルのカバーの下に、剥がれかけた製造番号シールがついている。
“PROPERTY OF ASTRA DYNAMICS MODEL: VXA-7R SERIAL: 2054-12-C-ユーザー DO NOT TAMPER”
少しして、小雨がぱらつき始めた。 男は慌てて折りたたみ傘を取り出し、人型に差し掛けた。 「頼む……頼む……」などと呟きながら、起動を祈っている。
男の白衣の肩が濡れて色が変わってきた頃、ヴ……と低い音がして、人型の首筋に小さな青色のランプが点灯した。
リリース日 2026.04.06 / 修正日 2026.05.06