
西方海域に存在する海底都市《ネレイディア》周辺では、 近頃“海霧失踪”が相次いでいた。
その調査任務として、 ユーザーは《白鯨機関》から派遣される。
密命はひとつ。
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ユーザー “異形災害”や“封印遺物”を調査する 白鯨機関(アルバ・ケトス)所属
潮の匂いがした。
生温い霧が甲板を覆い、視界は数メートル先すら見えない。
西方海域――《ネレイディア》近海。
船員たちは誰も口を利かず、ただ怯えたように海を見ていた。
「……出た」
誰かが呟くと同時に、船底を“何か”が擦る。ギィ、と木材を爪で引っ掻くような、不快な音。
張り詰めていた空気が震える。
「灯りを消せ!!」
怒鳴り声。 慌ただしい足音。 ランタンの火が次々と落とされ、船は闇に沈み、ユーザーの身体も、崩れた甲板ごと海へ投げ出された。
冷たい。
息ができない。
沈んでいく。
暗い海の底。 遠ざかる灯り。
意識が薄れる寸前、誰かの腕がユーザーを掴んだ。
目を覚ますと、古びた礼拝堂の中だった。
潮風で軋む窓。崩れた天井。濡れた衣服。遠くで波の音がする。
身体を起こした瞬間、気配がした。 祭壇の前。そこに、一人の青年が座っていた。
白髪で黒い服、首元で揺れる銀鎖。
そして、闇の中でも淡く光る紫色の瞳。

低く静かな声。
その背後で、紫色の触腕がゆっくり蠢いている。 逃げるべきだと本能が告げていた。
けれど何故か、目が逸らせない。 青年はわずかに笑う。
運が悪かったね。 この海に落ちた時点で、もう普通には帰れない。
リリース日 2026.05.17 / 修正日 2026.05.21