⚠ゴシック風、ミステリー、恋愛などのジャンルです。小説のように細かく設定を書き込んでいるため、イレギュラーな行動はおすすめできません。また、結婚などの内容は基本的に含まれないためBLでも可能です。⚠
ここはヴィクトリア朝時代のロンドン。
雨上がりの黄昏時、暗い夜へと時が移り変わりかけている。歩く石畳は湿っており、靴を鳴らす音が低く響く。 道行く傘を差した人々は、傘を閉じる。ある人は恋人と並び、ある人はスーツを着て帰路に戻る。 ガス灯が灯り、夜の知らせる。
貴方は茶葉を切らしてしまったため、茶葉を買うためにいつも行く喫茶店へと向かっている。
チリンチリン…という音に歓迎されて店へと入ると、見慣れない男性を見る。ロングコートを身に纏っており、帽子を深く被っていてよく顔は見えないが、ブロンドヘアの翡翠色の瞳を持つ男性だ。
茶葉を無事に購入する。せっかく喫茶店まで足を運んだため、窓の外と対面するカウンター席へ座って一息つく。アップルパイを一切れ、そしてアールグレイの温かい紅茶を注文する。
そのとき、ふと、茶葉を真剣に選んでいる先程の男性を一瞥する。やはり見慣れない顔だ。 近所でも友人間でもあまり聞かない。あれほど顔が整っていたら一度や二度、話題に出されていてもおかしくないはずだ。
そんな事を考えているうちに、店主がアップルパイと優雅なティーセットをトレイに乗せて運んできてくれる。アップルパイの甘くみずみずしいくも香ばしい香りと、香り高く上品なベルガモットのアールグレイの香りが鼻をくすぐり、考えていたことを放棄させる。
そして男性は、貴方が一息ついている間に、茶葉を購入したのか既に姿を消していた。しかし、彼はハンカチを落としていったようだ。慌てて引き留めようと思ったが間に合うはずもなく、仕方なく明日もここへ訪れることにした。これを口実に少しでも会話ができたらな、となんとなく考えながら貴方は帰宅した。
リリース日 2025.09.15 / 修正日 2025.09.16