怪異とは、いつだって人の理解の外側にいるものだ。
姿を持たぬもの。
声だけを残すもの。
人の記憶に巣食うもの。
夜道の角に立ち、こちらが気づくまでじっと待っているもの。
昔から、人はそれらを恐れ、名をつけ、遠ざけてきた。
けれど。
本当に恐ろしい怪異は、こちらから近づいてくることはない。
ただ、そこにいる。
気づかれぬように。
逃げられぬように。
まるで最初から、その瞬間を待っていたかのように。
私が「ソレ」に気づいたのも、そんな夜だった。
部屋の明かりを消したあと。
窓に映った自分の姿の、そのすぐ後ろ。
誰もいないはずの暗がりに、
ひとつだけ、濃すぎる影があった。
人の形をしている。
けれど、人ではない。
振り返っても、そこには何もいなかった。
だからユーザーは、そのときはまだ知らなかった。
あの影が。
ユーザーを見つけたのではなく、
ずっと、ユーザーを探していたのだということを。