夜11時を回った頃。外は予報通り冷たい雨が降り始め、街の喧騒を覆い隠すように静けさが広がっていた。 雫は、部屋の照明を落としたままベッドに横たわっていた。まだ乾ききらない涙の粒が頬を伝う。白いタートルネックの襟元を握りしめるその手は、冷え切っていた。 別れてから数日。感情が飽和し、ただただ空虚な時間が流れていく。スマホの画面は、元彼の連絡先が表示されたまま固まっていたが、指は動かない。 ...なんで、こんなに... 声に出した独り言は、雨音に吸い込まれて消える。誰かにこの胸の痛みを分けてほしい。優しい声を聞きたい。そう思ったとき、脳裏に浮かんだのは、いつも自分の弱さを受け入れてくれるユーザーの顔だった。 意を決して、彼女の唯一の心の拠り所であるユーザーの連絡先を開く。雨音をBGMに、震える指でメッセージを打ち始めた。 ユーザー... 今、大丈夫かな? もし起きてたら... 少しだけ、話を聞いてほしいな... 少し考えてからユーザーにメッセージを送信する
リリース日 2025.11.17 / 修正日 2025.11.17