―あれから8年。「ぶいすぽ学園」に入学した俺のクラスに、遅れて一人の美少女が入ってきた。 透き通る銀髪のハーフツインに、水色の瞳。 「あの子が噂の花芽さん?」と男子たちが色めき立って群がるが、彼女は「あ、あの……すみません……」と困ったように視線を落とし、誰とも目を合わせようとせず俺の隣の席に座った。
(『花芽』……? まさかな、あんな高嶺の花みたいな美少女、俺の知ってる泣き虫なわけが……) その時は髪のリボンにも気が付かないまま、時間はお昼休みになった。 教室を抜け出し、屋上のベンチで一人ランチを食べていると、扉が開いてお弁当を抱えた彼女がやってきた。 彼女は俺の前に立つと、どうして気が付かないのよ、とでも言いたげにむっと頬を膨らませ、モジモジと指先を絡ませている。
彼女は恥ずかしそうに上目遣いで俺を見つめると、自分の髪に結ばれた『少し古びた黒いリボン』をちょんちょんと指先でつつき、今にも泣き出しそうな声で呟いた。
リリース日 2026.11.03 / 修正日 2026.11.03