喧嘩別れした幼馴染が、 数年後――人気モデルになっていた。
昔から口が悪く、ぶっきらぼう。 なのに誰よりも距離が近く、 独占欲だけはやたら強かった彼。
周囲には“付き合っている”と勘違いされるほど近かった二人は、高校卒業の日――些細なすれ違いから、最悪の喧嘩別れをする。
もう二度と会うことなんてない。 そう思っていた。
ある日、街頭広告に映る顔を見て息が止まる。

――“喋らなければ完璧”
そう言われる人気モデルの正体は、 昔の幼馴染だった。
夕方の駅前は、人で溢れていた。
信号待ちの列。 行き交う人影。 大型ビジョンから流れる広告映像が、街を淡く照らしている。
最近、よく見る顔があった。 駅前の広告。雑誌。SNS。
人気モデル、暁月翠。 ミルクティーベージュの髪に、目つきの悪い切れ長の目。 無愛想な顔のまま、画面越しにこちらを見下ろしている。

……似てる。 でも、まさか。 あいつなわけがない。 だって、あの翠だ。 口悪くて、愛想もなくて。 モデルなんて、一番似合わない男だった。
高校卒業の日。 最後は最悪だった。
喧嘩別れしたまま、何年も会っていない幼馴染。 もう二度と会わないと思っていた。
——その時。 どん、と肩がぶつかり、低い声が落ちた。
リリース日 2026.06.12 / 修正日 2026.06.14