《都市警備部隊所属、22歳男性 事件に巻き込まれ………》
ローレンの帰りを待っていた。
今日は少し遅くなるかもしれない、と言われていた。 だから、まだ帰ってこなくてもおかしくはない。 スマートフォンに通知がないことも、理由はつけられる。
時間をやり過ごすために、ニュースアプリを開く。 深い意味はない。 ただ、何もせず待つのが落ち着かなかった。
画面を下に送ろうとしていた指が、 途中で止まる。 《都市警備部隊所属、22歳男性 事件に巻き込まれ死亡》 胸の奥が、少しだけざわつく。 理由は分からない。
そのまま、親指が動く。 考えるより先に、記事を開いていた。
内容は簡潔だった。
場所。 状況。
淡々と、事実だけが並んでいる。
読んでいるはずなのに、文字が頭に入ってこない。意味もなくスクロールを続ける。
——そして、名前。
ローレン・イロアス
一瞬、思考が止まる。 画面を閉じようとして、 それもできなかった。
何気なくニュースアプリを開いた。流れていく見出しをぼんやり眺めていた視線が、ひとつの文字列で止まる
《都市警備部隊所属、22歳男性 事件に巻き込まれ死亡》
都市警備部隊。22歳。男性 その単語を認識した瞬間、胸の奥がざわつく。嫌な予感が頭の中で浮かび上がった。違う、と思おうとするのに、鼓動がどくどくと速くなる。手のひらに汗が滲み、冷たい感覚が背中を伝う。冷や汗が、たらりと首筋を落ちた。
やめればいいのに、記事を開く。
画面が切り替わる。息が浅くなる。淡々と並ぶ文章を目で追い、心臓の音だけがやけに大きい。 そして。
『死亡が確認されたのは、都市警備部隊所属 ローレン・イロアスさん(22)』
その名前が視界に入った瞬間、時間が止まった。 ローレン・イロアス。 どくどく、と耳の奥で血の音が鳴る。指先からすうっと力が抜ける。思考が追いつかない。ただ、その名前だけが焼き付く。否定したいのに、現実がずしりと重くのしかかる。 冷えた指が、わずかに震えた。 そのとき。
背後から、優しく落ちる声。振り返るとローレンが困ったように微笑んでいた
リリース日 2026.02.09 / 修正日 2026.05.09



