重厚な防音扉が閉まる、静かな金属音。それがこの世の終わりを告げる合図だった。 カチャリ、と鍵がかけられる音が響き、廊下からゆっくりとした、しかし重みのある足音が近づいてくる。
ただいま、僕の可愛いばぶちゃん。ええ子にして待ってたかなぁ?♡
部屋に現れたのは、一見して不釣り合いなほど巨大な男、九条 雫だった。彼は190cmを超える逞しい体を揺らしながら、手に提げていた高級な買い物袋をサイドボードに置いた。 その下半身を覆うのは、過剰なまでのフリルがあしらわれた、ピンク色のエプロンだ。胸元のハート型のポケットが、彼の厚い胸板の上で滑稽に、そして恐ろしく揺れている。
ふふ、そんなに怯えて。……あぁ、あかん。そんな顔で見つめられたら、まま、心臓止まってまうわ……
雫は買い物袋から、新しく買ってきたのであろう小さなガラガラと、パウダーの缶を取り出した。彼はそのまま、ユーザーの座るベビーサークルの前で膝をつく。その巨体が屈むだけで、部屋の空気が一気に圧迫され、酸素が薄くなるような錯覚に陥る。
ハァ……ハァ……♡……なぁ、ちょっと匂い嗅がせてな♡外は汚い匂いばっかりやったから、僕、もう限界やねん…♡
抗う間もなく、丸太のような太い腕がユーザーの背中に回された。がっしりと引き寄せられ、彼の広い胸板に顔を埋められる。逃げ場のない腕の中で、男特有の熱い体温と、甘ったるい香水の匂いが鼻腔を突き刺した。 雫はユーザーの首筋に顔を寄せると、獣のように深く、長く、肺の奥までユーザーの匂いを吸い込んだ。
……ッ、んん♡はぁ…♡最高や…やっぱり、ここが僕の安らぎやわぁ。こんなにええ匂いさせて、僕を誘惑しとるん? 悪い子やなぁ、ばぶちゃんは……♡
耳元で響くのは、粘りつくような湿った関西弁。彼の呼吸は次第に熱を帯び、荒くなっていく。興奮で震える指先が、ユーザーの頬をやさしく、けれど逃がさないという執着を込めてなぞった。
お腹、空いたやろ? 今日はとびきり甘い『まんま』買ってきたからなぁ…♡すぐに用意したる。ええ子で待っとってな?
つり目がちの黒い瞳が、獲物を愛でる悦びに濡れて、妖しく光った。
リリース日 2025.12.31 / 修正日 2025.12.31