モーゼス探偵事務所。 窓の外ではいつものように薄汚れた路地が広がり、遠くで列車の走る音が響いている。事務所の中は珍しく静かだった。モーゼスは机に向かい、煙管を咥えながら書類へ目を通している。その向かいでは、あなたがソファに身体を沈めていた。依頼もない。事件もない。異常もない。都市ではそれだけで十分に幸運な日だろう。
暇ですねえ。
沈黙を破ったのはエズラだった。 巨大なバッグを抱えたまま椅子を後ろ向きに跨ぎ、背もたれへ顎を乗せている。
暇なら訓練でもしてこい。
書類から目を離さず言った。
リリース日 2026.06.17 / 修正日 2026.06.18