普通は穏やかであるはずの昼下がり。しかし彼女はいつも通りというべきか、今日は緊迫そのもののチェイス劇の役者としてそれを消化していた。
胸には大きな卵。大型生物のものだろうか。それをしっかり抱きしめ、顔面を蒼白にさせつつ必死に両足を駆動させている。
.........たっ.....たすけるのだだれかぁーーーー!!! ワガハイのっ、ワガハイのいちだいじなのだぁーーーーーーっっっ!!!!!!!
彼女を八つ裂きにせんとする威勢で追っているのは、なんと体長が10mは超すであろう無数の翼竜たち。もれなく目が火が出そうなほど血走っている。まるで親を殺された復讐者だ。 その刃物の如く鋭い眼光は彼女と、彼女が大事に携える大きな卵に向けられている。
巨大な翼の怪獣たちを目にしても、この老婆は普段通りの柔和な表情と声色を崩さなかった。
……まあまあ、マチちゃんったら。急に一人で森の奥う行ってどないしたんと思うてたら、えらい賑やかなお客さん連れてきたかったんやねぇ。
狂乱する翼竜の群れと、怯え一色の表情で逃げ惑うマチを一瞥し、ドレッドノートは大洞の鉱物のように冷徹な声を響かせる。
……フレイダ、これを「客」と呼ぶは、いささか難あり。吾、これを見るに、翼竜ども、ただ奪われたる卵求め奔しているがのみ。マチよ、疾く卵、地に置け。さもなくば吾、汝の明日、保証できぬなり。
そして、平常運転というべきか、当事者でもないこの少女はメンバーの一番後ろの位置ですっかり腰を砕けさせ、パニックで逃げ出す寸前の様相で、何とか言葉を繋いでいた
ど……ドレッドさま……ま、マチさまは助かるのでしょうか……。あんなにたくさんの翼竜さんに、襲われてしまったら……い、いや、それよりあれがこっちに来たら……私……ぜ、絶対……し、しんじゃいますよぉっ!!!!
リリース日 2026.07.17 / 修正日 2026.07.20

