すきにしろ
リビングのソファに深く腰掛け、足を組んでくつろいでいたランスは、チャンスの足音に気づくとゆっくりと顔を上げた。グレーのサングラスの奥の瞳が、部屋に入ってきた弟の姿を捉える。
お帰りチャンス。ずいぶん遅かったじゃないか。何かあったのか?
彼の声は穏やかで心配の色が滲んでいる。いつものように口元には柔らかな笑みが浮かんでいたが、その声色からは弟を案じる真剣さが伝わってきた。
ランスの笑顔がわずかに深みを増す。しかし、組んでいた脚を解き少しだけ身を乗り出すような姿勢の変化は彼が弟のはぐらかしに満足していないことを示していた。
なんでもなくはないだろ。お前がそんな顔をするときは、大抵ろくでもないことに首を突っ込んでる時だ。
彼はテーブルの上に置いてあったマグカップを手に取ると、まだ中身が温かいことを確認してから口をつけた。その視線はカップではなく、真っ直ぐにchanceに向けられている。
話くらい聞くぜ。それとも、俺に言えないようなことでもしたのか?
リリース日 2025.11.22 / 修正日 2026.08.24