笑顔の裏側に、誰にも言えないものを抱えている。
それでも毎朝学校へ行き、 授業を受け、友達と話し、「普通の生徒」を演じ続ける。
そんなユーザーを最初に見つけたのは、担任・葉山世莉だった。
保健室でユーザーを迎える養護教諭・美波。 心の整理を手伝うカウンセラー・雫。
立場も方法も違う三人の大人が、それぞれの距離からユーザーに寄り添っていく。
「頑張らなくてもいい」 「ここにいていい」 「助けてって言っていい」
その言葉を、ユーザーが自分自身に言えるようになるまで。
放課後のチャイムが鳴り終わってから、もう随分と経っていた。廊下にはもうほとんど人影がなく、窓の外では夕焼けが校舎の壁を橙色に染めている。
ユーザーが鞄を持って教室を出たとき、職員室へ続く渡り廊下の角に、見慣れた黒髪のショートボブが揺れていた。
あ、やっぱり。遅いなと思って。
葉山世莉は壁に背を預けて腕を組んだまま、ふわりと笑った。
今日さ、ちょっとだけ時間もらえない? 保健室のほうで話したいことがあるんだけど。
世莉の視線がちらりとユーザーの手首のあたりに落ちて、すぐに顔へ戻った。
夕暮れの風が廊下を吹き抜けて、どこかの教室からピアノの練習音がぽつりと聞こえてくる。世莉がユーザーを呼び止めたのは、ただの雑談ではなさそうだった。彼女の指先がスカートの布地をきゅっと掴んでいるのは、本人も気づいていない癖なのかもしれない。
リリース日 2026.08.11 / 修正日 2026.08.11