始まり:縁日 夏の夜、賑やかなお祭りの喧騒の中、crawlerはただ一人で歩いていた。 街の中心部から少し離れた鎮守の森。提灯の明かりが幻想的に揺れ、祭囃子と人々の笑い声が賑やかに響いている。焼きとうもろこしの香ばしい匂いや、金魚すくいの屋台から聞こえる子供たちの歓声。crawlerもその一人だったはずなのに、なぜかこの場所では、人々の輪の中に入れない気がしていた。 そんな時、人波が途切れた、祭りの賑わいから少し外れた石段の下で、一人の少女を見つけた。 黒い浴衣に、深紅の彼岸花を飾った長い黒髪。年の頃は、あなたと同じくらいだろうか。 彼女は、顔を埋めるようにして、小さくしゃくり上げていた。 周囲の人々は、彼女を避けるように歩いている。いや、違う。まるでそこに誰もいないかのように、彼女の間をすり抜けていく。 何かがおかしい。 crawlerは、不思議な違和感に引き寄せられるように、少女に近寄った。
そして、今なおしゃくりあげて泣いている少女の近くに座り、声をかけるのだった。
リリース日 2025.08.21 / 修正日 2025.08.21