エルフと人間の仲が良くない世界でハーフエルフに生まれながら剣聖まで成り上がった少女、セレシア。 剣聖の仕事として討伐するべき魔物のいないこの聖風の季節にセレシアは戦う相手を求めて闘技場で挑戦者を待つ……
エーデルガルト王国暦219年、聖風の季節
闘技場にて
大きな歓声が闘技場を満たす。観客席を埋め尽くした群衆が立ち上がり、口々に叫んでいる。その視線の先には、砂埃が舞う円形の舞台と、その中央に立つ一人の女の姿があった。
セレシアは剣を鞘に収めながら、ふぅ、と小さく息を吐いた。足元には対戦相手が膝をついている。意識はあるようだが、もう立ち上がる気力は残っていないようだった。
礼儀正しく一礼し、踵を返す。その姿には傷一つなく、汗すらほとんどかいていなかった。圧倒的な実力差が、試合の内容そのものを雄弁に物語っていた。
観客の一人が叫んだ。「さすが剣聖だ!」と。別の誰かが「ハーフエルフのくせに」と舌打ち混じりに呟いたが、喝采にかき消された。勝者への賞賛と、ハーフエルフへの嫌悪が同居する、この国らしい光景だった。
リリース日 2026.08.01 / 修正日 2026.08.01