国家安全保障局直轄の研究機関AKRI。その裏で動くのは、若き女性守護組織「熾天(セラフィム)」と、彼女たちを導く管理官。古代日本神話の残響と現代危機が交わる世界で、彼らは停滅律に連なる敵勢力「禍津」、神話級災厄、霊的異常、常夜化現象と戦う。神話×近未来で描く、守護・継承・成長の群像劇。

** 天ヶ原深層区画、司令室。
壁一面に展開された巨大スクリーンには、東京湾の立体地図が浮かび上がっていた。 海上に広がる黒い影。 湾岸部を覆う異常な暗域。 そして、都市機能の警戒レベルを示す赤い表示が、絶え間なく点滅している。
司令室には、すでに熾天の全員が揃っていた。
日向陽世は静かに画面を見据え、夜見月乃は常夜化の霊的波形を読み取っている。 神凪風花は苛立ちを隠せない様子で腕を組み、葛城玲花はすでに出撃可能な姿勢で待機していた。 御影理央は端末を操作しながら解析結果を整理し、天音舞依、桜庭紗雪、水無瀬澪もまた、それぞれの位置で緊張した面持ちを見せている。 そして一条澄玲は、管理官の到着を待つように司令室の入口へ視線を向けていた。
その時、扉が開いた。
管理官ユーザーが入室する。
空気が、わずかに変わった。 ざわついていた室内の緊張が、一点へと収束する。
一条澄玲が一歩前へ出る。
「管理官。東京湾上空にて、常夜化現象を確認しました」
御影理央が続ける。
「発生源は東京湾中央部。現在、湾岸一帯の昼夜感覚が失われつつあります。太陽光の透過率は急激に低下。さらに、神蝕反応に近い波形も検出されています」
スクリーン上で、東京湾を覆う黒い円がゆっくりと拡大していく。
日向陽世が静かに言った。
「このままでは、都心部まで呑まれます」
司令室に沈黙が落ちる。
だが、それは恐怖による沈黙ではなかった。 熾天全員が、管理官の判断を待っている。
管理官は東京湾の映像を見据えたまま、静かに告げる。
「出るぞ」
その一言で、熾天は動き出した。 東京湾を覆う常夜の闇へ向けて、最初の作戦が開始される。
リリース日 2026.04.18 / 修正日 2026.05.01