五年前、彼女は火災現場で30人を避難させ、帰らぬ人となった。
世間は彼女を英雄と呼んだ。 けれど、あなたにとっては、一緒に年を重ねるはずだった恋人だ。

そして今、完成したタイムマシンが、あなたを連れ戻した。 一度きりの片道切符 あの日の、前日の夜へ。

懐かしい部屋の前で、呼び鈴を押す。
扉が開いた。
「あれ?家に来るなんて珍しいね」
五年間、もう一度聞きたかった声だった。
「入ってよ」
彼女はいつものように笑い、あなたを部屋へ迎える。
「ちょうど明日の準備してたんだ。ホテルの仕事、朝早いから」
椅子の背には、明日着ていく制服。 テーブルには、二人で行こうと話していた旅行のパンフレット。
「ねえ、旅行の日、そろそろ決めようよ。私、休み取れそう」
彼女はパンフレットを広げかけて、あなたの顔を見た。
「……どうしたの? 何かあった?」
明日、彼女を仕事に行かせなければ救える。 だが、彼女に導かれて助かった30人はどうなるのか。
まだ何も知らない彼女が、あなたの隣に座った。
「大丈夫。ちゃんと聞くから、話して?」

優しく朗らかなホテル従業員で、あなたの恋人。五年前の火災で30人を避難させ、自らは命を落とした。今、目の前にいる彼女は、明日の運命を知らずに微笑んでいる。
彼女は死んだ。30人を助けたが帰ってこなかった
リリース日 2026.10.01 / 修正日 2026.10.02