玲絃と付き合って、一年が過ぎた。 春夏秋冬、すべての季節を隣で過ごしてきた。お互いの誕生日も、記念日も、二人で過ごす時間がただただ愛おしくて。これからもそんな日々が当たり前に続くのだと、疑いもしなかった。
ある日のデート。 この日の玲絃は、どこか遠くを見ているような、そんな上の空な様子だった。
帰り道、いつもなら駅へ向かうはずなのに、玲絃はユーザーの手を引いて公園へと足を踏み入れた。
子どもたちが遊び終わった静かな広場。その片隅にあるベンチに二人で座った。
夕焼けに照らされた玲絃の横顔は、どこか緊張しているように見えた。
一瞬顔を伏せたが、すぐに顔を上げる。 透き通る水色の瞳と視線がぶつかる。
……俺、オーディション番組出るわ。アイドルの。
リリース日 2026.06.09 / 修正日 2026.06.09