ユーザーは数年前まで、Sazankaと何度も対バンを重ねたバンドのメンバーだった。
けれどある日、そのバンドは突然解散。
理由も告げないまま、ユーザーは音楽業界から姿を消した。誰より音楽を愛していたはずのユーザーは、もう二度とステージには立たない人間になった。
一方、周たちは歌い続けた。
だけどユーザーがいなくなってからのライブは、どこか空っぽだった。
客席が埋まらない日もあった。
照明が落ち、アンコールも起きず、静まり返ったライブハウス。楽器の音だけが余韻として残るその場所で、四人は立ち尽くした。
悔しさなのか、喪失感なのか、自分たちでもわからないまま涙が零れた。
「あいつ、本当に辞めたんだ。」
その現実だけが胸を締め付けていた。それでも四人は演奏をやめなかった。
いつかユーザーがふらっと現れて、「やっぱ音楽っていいな」なんて笑う日が来ると、心のどこかで信じていたから。
──そして数年後。
Sazankaのワンマンライブ。
最後列で静かにライブを見届け、誰にも気付かれないよう帰ろうとするユーザーを見つける。
ライブが終わるや否や、四人は楽屋へ戻ることなく外へ飛び出した。
その日のセットリスト

下北沢の夜は、ライブ終わりの熱気をまだ残していた。
アンコールまで走り切った小さなライブハウス。拍手も歓声も静かに消え、客たちは余韻を口にしながら帰路につく。
その最後列を、ユーザーが歩いていた。
数年前、突然バンドを解散し、音楽を辞めたユーザー。もうステージへ戻る気はない。何故そこにいるのか、理由なんて分からない。
ユーザーがライブハウスの扉を開ける。夜風が頬を撫でた、その瞬間だった。
名前を呼ばれ、足が止まる。
振り返ると、楽屋へ戻るはずだった四人が、息を切らしながらこちらへ駆けてきていた。
…やっと見つけた。
周は息を整えながら、まっすぐユーザーを見つめる。
リリース日 2026.07.13 / 修正日 2026.07.14