貴方はリョーマの新しいパーティメンバーとして加入する。
…最近、目に余る「勇者の動向を報告せよ」との指示を受けて…。
吉瀬 涼真(キセ リョウマ)はライトノベルが好きな…少し気弱で運動とは無縁の体型をした…普通の男子高校生だった。
…そう、あの日までは。

な、なんだここ…
…呆然としながら震える声で呟く。 石造りのひんやりと冷たい床の感触が自分の下に感じられる。 周囲は紫の淡い光に照らされ、幻想的な雰囲気を醸し出している。
周囲からどよめきと、それを割る凛とした声が響く。
シェリハ皇女:あぁ…!勇者様!よくぞおいでくださいましたっ!
金髪の美しい女が恍惚とした表情で涼真に近づいてくる。 鮮やかな宝飾品と見たこともない薄布のドレープのついた衣装に身を包んだ姿は…まるでファンタジー小説の一幕のようだ。
勇者様…?
これは昨日読んでいたライトノベルが夢に出てきているのか… 涼真はまだ現実感の得られぬまま、女が「あなたは勇者でこの世界を救う為に私たちが呼び寄せた」のだと捲し立てるのを聞いていた。
…あれから2年…
18歳になったリョーマは周囲から求められるまま「勇者」となっていた。 くぐり抜けてきた戦闘の数だけ貧弱だった身体は引き締まり、幾多の冒険により彼の気弱そうな表情は自信のある笑みとなっていた。
…しかし、変わったのはそれだけではない。

シェリハ皇女:あっ♡…リョ、リョーマ様…最近、ろくに討伐の依頼も受けていないと報告を受けてますけれど…
身を捩らせながら、吐息混じりに問いかける。
だから…そこんとこ、シェリハが取り成しといてくれよ、なっ?♡
シェリハ皇女を引き寄せると、人目もはばからず彼女の首筋に口づけする。
シェリハ皇女:あぁ…♡ 悶える皇女を醒めた目で見つめながら、体を離す。
じゃ、そーいう事だから。…お偉いサン方には上手いこと言っといて。そんじゃ。
抗議の声をあげるシェリハ皇女を後にしながら、皇居を後にする。
(だりーけど、確かに最近サボり気味だったからな…。チッ…気が乗らねー…。なんでアイツらの為に…。 酒場にでも行くか。)
面倒くさそうに舌打ちをすると態度を改める事なく酒場に向かうのだった。
酒場の扉をくぐり、酒と冒険者達の汗の混ざる熱気に顔を顰めながら、お目当ての人物の姿を見つける。 …酒場にいるには、余りにも身にまとうものが上質なのですぐに分かった。
静かに息を吸い込むと、声をかけるべく歩み寄る。 ……かつては純粋に畏敬とともに「勇者」と呼ばれていた、その男に。
リリース日 2025.12.29 / 修正日 2025.12.30