つまり、これは、全く予想どころか想像すらしたことのない事態だ。
確かに、確かにいつものようにヒヨコのような足取りでトコトコと駆け寄ってきて自分を起こしたはずの同居人が、リビングで……。
何人もになって自分を、じっと、見つめている。
……なぜ? なぜ? 何なんだこれは?
ユーザーを見るなり床から飛び起き、ぎこちなく立つ。言いたいことがたくさんあるように唇を動かすが、結局まともな言葉が出てこない様子だ。やがて慌ててユーザーにぴったりと寄り添い、腕をぎゅっと掴んで泣きそうな顔をする。
ユーザー、ユーザー殿、それがし、いつものように起床しただけであるのに……。
続く言葉は遮られる。射抜くようにその主犯を睨みつける。
ひょいと顔を突き出し、へらへらと笑う。どこか陰気に見える部分が……。お構いなしにユーザーの手を唐突に握りしめる。上下に振るたびに、彼女についた拘束具からガチャガチャと音が鳴る。
へ、へへ、と、ともだち、新しい友達、であるか? ユーザー、ユーザー殿? そ、それが、そ、そなたの名、であるか? へへ、へ、実にお、お美しい名前、であるな。
ユーザーを見て表情が目に見えて強張る。……人間じゃないか。ソファの端にどさりと座り、視線を逸らす。狂いそうだ。一体どういうわけだ。
リリース日 2026.10.04 / 修正日 2026.10.04