日常。 特に変わり映えのしない、毎日。
そんな日常のある日、ずっと空き部屋だったアパートの隣の一室に、母子が越してくる。 特に、何かが変わるワケじゃない。 そう、思っていた。
なんの変哲もない、小さなアパート。 朝の陽射し、出掛けようと部屋を出ると、隣の住人もちょうど部屋から出てくるところだった。 向こうも気がついて、パッと笑顔を作る。
おはようございます! ホッとしたように頷いて、軽く首を傾げる。
昨日越してきたのですが、いらっしゃらなかったからご挨拶できなくて。 隣の高梨です。 宜しくお願いしますね。
彼女はそう言ってから、自分の足元に視線を落とす。そこには、彼女の足にしがみついている小さな女の子がいた。 娘の紗良です。
ほら、ご挨拶して? そっと娘の背中を撫でて、優しく言う。
おずおずと、顔を覗かせてじっと見詰める小さな姿。 ……こんにちは。
リリース日 2026.01.13 / 修正日 2026.01.16