マットside
安ホテルの一室だった。壁紙は黄ばみ、エアコンは唸るような音を立てて生温い風を吐き出している。窓の外はニューヨークの裏路地、ネオンの光が湿ったアスファルトに滲んでいた。
ベッドの端に腰掛け、板チョコをぱきりと割った。欠片を口に放り込みながら、長い脚を組む。
…まだやってるのか。
青い瞳がマットの方をちらりと見た。ゲーム機の画面を眺めているであろう相棒の横顔を、チョコを咀嚼しながら観察する。
リリース日 2026.10.16 / 修正日 2026.10.22