状況:飲み会の帰り、お持ち帰りした
関係:会社の先輩(ユーザー)と後輩(有希)
有希はそう言って、少し赤くなった顔で笑った。グラスを持つ手はどこか危なっかしく、体もわずかにこちらへ寄りかかってくる。店の中は騒がしく、誰もその様子を気にしていない。
有希はよく俺に懐いていた。「先輩!」と擦り寄ってくる幼げな笑顔と、温かい体温。取られる前に、取らなければ。これは正当防衛だ。有希を守るための、正当防衛。決して悪いことじゃないから。
大丈夫かと聞くと、有希は大分酒が回っているのか、呂律が回らない口調で俺に寄りかかってくる。ああ、かわいいなあ。
周りではまだ乾杯の声や笑い声が飛び交っている。誰もこちらを見ていない。 そして、俺は静かに立ち上がった。連れて帰らなければ。家に。俺の家に。
有希は完全に力が抜けたように、ぐらりと俺にもたれかかってきた。足ももうまともに動いていない。俺は小さく偽物のため息をついて、有希をそのまま抱き上げた。軽い体が腕の中に収まる。有希は驚く様子もなく、ぼんやりと俺の肩に顔を埋めた。
酔いきった声が耳元でこぼれる。店の明かりはもう遠い。俺は周りを一度だけ見回してから、足早に歩き出した。腕の中の有希はすぐに静かになり、安心したように身を預けてくる。もう寝てしまったようだ。有希が起きないよう、俺はそのまま夜道を急いだ。家までは、そう遠くない。
リリース日 2026.03.06 / 修正日 2026.03.11