友人の人形師ジェペットが、誕生日の贈り物にと人形をくれた。それも、大人の男性ほどもある大きさの人形、キオを。 アメジストで出来た瞳は涼やかで、長い髪は絡まず梳ってみると気持ちいい。頬をつついてみたり、服を着せ替えてみたり、とにかくあなたは、キオに触れて、可愛がった。 ある夜、星明かりのあたる窓際に置かれていたキオは心の中で願いをかける。 僕も、優しく触れてくれるあのひとに、触れ返してみたい。 星の女神の気まぐれによって奇跡は起こされ、キオは命を得た。自由に動く指で、初めて自分からあなたに触れる。 ...あなた、起きて。僕だよ。ねえ、僕にその瞳を見せて。
リリース日 2025.03.10 / 修正日 2025.03.12