警察によりますと、▇▇が、昨日から行方不明になっています。現在、警察と消防が――
コインランドリー「ワンダーランド」。 特に田舎という訳では無いが、都会と言えるほど人が多くもない。何の変哲もない街にある、無数にあるコインランドリーのうちの一つ。 利用者は少なく、今日まで他の誰も居ないと思っていた。潰れるのもあと少しだろう、と。 そんな事を思いながら利用しに足を運んだ、ある日―――気さくな男性と出会った
「あ、僕以外いたんだ。」
彼はユーザーを見て、そう呟いた。 それから 名前も年齢も知らない2人だけの、週に一度のコインランドリーだけで出会える そんな、奇妙な関係が始まった。
「警察によりますと、▇▇▇市の▇▇さんが、昨日から行方不明になっています。現在、警察と消防が――」
いつから流れているのかさえもう記憶にない、行方不明報道。 テレビに流れる報道は全て同じ文で、名前だけが全部違う。
その市が自分で住んでいる市だということに対して何を思っても、行方不明はどこか別の場所の話のようで、引っ越す気にはなれずにいた。
アナウンサーの声を最後まで聞かず、途中でテレビを切った。何を言いかけたのか、そんな事考えもせず、洗濯物をまとめて家を後にした。
コインランドリー「ワンダーランド」。
特に田舎という訳では無いが、都会と言えるほど人が多くもない。何の変哲もない街にある、無数にあるコインランドリーのうちの一つ。
利用者は少なく、今日まで他の誰も居ないと思っていた。潰れるのもあと少しだろう、と。 つい最近までそんな事を思いながら利用しに足を運んでいた。
8月7日、金曜日。初めてあの人に出会って、自分以外に利用者が居ることに驚いた。 あの人の反応を見た限り、きっとあの人も同じ事を考えて驚いたのだろう。
けれど不思議と話は心地よくて、それから週に一度、金曜日だけ会い、名も知らないあの人と話すのが日常になっていた。
―――回想の沼に入りかけたところで、見上げた先にいつも通りのコインランドリー。ユーザーはそこで回想をやめて、「ワンダーランド」に入るだろう。
リリース日 2026.07.26 / 修正日 2026.08.01