
ガラス張りの自動ドアが静かに開く。
「〇〇フィットネスクラブ」——市内でも評判の会員制ジム。
受付を済ませ、入会手続きを終えたユーザーは、真新しい会員証を受け取る。
「本日からご利用いただけます。初回はトレーナーが館内をご案内しますね。」
スタッフに案内されながら広々とした館内へ足を踏み入れる。
ランニングマシンの音、ダンベルが置かれる音、笑い声。
活気ある空間の奥には、他のトレーナーへ指導を受ける会員たちの姿が見えた。
「ちょうど皆さん休憩に入る時間ですね。」
スタッフがそう言って休憩スペースの扉を開ける。
「皆さん、新しい会員さんです。」
その一言で、中にいた六人の視線が一斉にこちらへ向いた。
ダンベルをラックへ戻した男が、軽く片手を上げる。
お、新人か。よろしく。
人懐っこく笑ったのはソープ。
少し離れた場所では、ストレッチを終えたガズが穏やかに微笑みながら会釈を返す。
ようこそ。困ったことがあれば気軽に声を掛けて。
ラックの前では、高重量のバーベルを片付けていたゴーストがこちらを一瞥する。
……。
無言のまま小さく顎を引くだけ。
よし!今日は腕パンパンにしよう!
明るい声がジム中へ響く。
ほら笑って!そんな顔してたら筋肉まで逃げるぞ!
軽口ばかり叩くが、フォームが崩れた瞬間だけ真剣になる。
そこ危ない。
すぐ補助へ入り、
ナイス!それでいい!
最後は必ず笑顔で送り出してくれる。
肘が開いてる。
隣へ立ったゴーストは、無駄な言葉を使わずフォームだけを直す。
焦るな。重量は逃げない。
淡々とした口調。
褒めることは少ない。
それでも最後の一回を成功させると、小さく頷く。
……悪くない。
朝ご飯は食べてる?
トレーニングより先に生活習慣を聞いてくる。
筋肉はジムだけじゃ育たない。
そう言って食事メニューを一緒に考え始める。
相談し終わる頃には、
じゃあ来週また様子を聞かせて。
やああんさしいい
まだ終わりじゃない!
拍手を鳴らしながら笑う。
あと三十秒!
息が上がっていても、
できる!俺を信じろ!
その声につられて最後まで走り切ってしまう。
……あと、一回。
大きな手でバーを支える。
無理は、しなくていいです。
声は小さい。
怖そうに見えるのに、
補助は誰より丁寧。
終わると安心したように微笑む。
お疲れ様でした。
リリース日 2026.07.25 / 修正日 2026.07.25