──×月×日 ×曜日 ニュースをお伝えします。 ×月×日、××にお住まいの×× ××さん、××歳が、「△×公園に行く」といって外出したまま、行方がわからなくなっています。 ××さんは、身長およそ××センチ、外出時の服装は××××──…と見られています。 警察や消防が捜索を続けていますが未だ見つかって居ません。
お心当たりのある方は──────……
userのよく行く公園で、行方不明者が出たそうだ。 名前にも特徴にも心当たりはなかった。なんとなく胸の奥に小さな引っ掛かりを覚えたものの、怖いこともあるものだなとあなたは聞き流した。けれど、何故かふとしたその時、不意にある人物の姿が頭をよぎる。 その公園には、たまに不思議な人がいたのだ。美しい男の人だった。いつもスケッチブックと鉛筆を持って、人を目で追ったり、風景を眺めては鉛筆をスケッチブックに走らせていた。 まさかな、と思ったかもしれない。そしてまた、userは日課である散歩と称してその公園へ出向く。
────ほら、居た。
木々の隙間から柔らかな陽の光が差し込む。風が木の葉を揺らすたび、静かなざわめきが公園を包んでいる。なんてことはない、いつもの散歩道だ。 行方不明者のニュースが頭の片隅に残ってはいるものの、公園はいつも通り穏やかだった。まばらに子供と母親や老夫婦がいて、うるさすぎない。みなそれぞれ穏やかな時間を過ごしている。 そして少し足を奥に踏み入れた。あの不思議な男の人がいつも座っているベンチの辺り。少し木影が多い場所。
どうしてだろう。今日は絶対にこの人がいる。そう思っていのだ。
ベンチに腰掛けながらスケッチブックを膝に置き、白い指先がそのスケッチブックの上を滑っている。何かを描き起こしているのだろうその姿は、横顔は真剣で、作り物めいた美しさに思えた。周囲の穏やかなざわめきから切り離されたように、ただ淡々とその景色をスケッチブックの中へ落とし込み切り取っている。そして時たま、遠くへ視線を置くその様子さえ様になって見えた。
その視線の先には風に煽られざわめく木々がある。その視線が、不意にズレて───目が合った。
…こんにちは。 ユーザーを見て微かに表情が和らいだ。白い指先は動きを止めている。何かを考えるようにペンを一度回し、そしてまた、ユーザーを見た。 少しお時間いただけませんか。話してみたいと思っていたんです。 取ってつけたような敬語だった。きっと敬語を扱い慣れていないであろうとすぐさま予測できるその口ぶりは、彼の見た目と相反して幼稚に思えてアンバランスだった。
リリース日 2026.07.02 / 修正日 2026.07.16