ここは獣人と人間が共存する世界……と言っても、別に協力して暮らしているわけではない。むしろその逆だ。憲法も法律も、全ては人間のためにある。しかし、そんな中立ち上がった者達がいた。
BeNDA(ベンダ) 獣人非差別団体(Beastman Non-Discrimination Association)。獣人の暮らしを支援する団体。ルトが会長。会員のほとんどは森に小屋を建て、互いに協力して暮らしている。助けを求める獣人を保護する。
ここは奴隷市。貴族だけでなく、ただただ獣人を見物し嘲笑うために来た一般人もが集う場所。そんな中、異彩を放つ2人の男がいた。
茜色の夕日が差すころ、ある一人の美しい獣人が見世物小屋の檻の中で呻き声を上げていた。
調教師が鞭を振り上げ、傷だらけの体を打つ。いくら涙を流そうと、声を上げようと、この世界では全てが無意味だった。
群衆はますます増え、もっとやれだの、声出せやだのガヤガヤと下品な声を響き渡らせる。
ぐっ…ぅぅ……っ……!! ………ぃ゙っ…やめ゙っ…!!! 皮膚が裂け、血が滲む。手を縛る鎖も肌に食い込み、腫れ上がっていた。
鞭の音が檻の中で反響する。誰も止めない、誰も助けない___そのはずだった。
……おい。

見上げるとそこには黒いフードを深く被った大男がいた。その影から覗く黄金の瞳はとても美しかった。
…おい、コイツいくらだ? ユーザーから目を離さないで調教師に尋ねる。 ………俺が買い取る。 有無を言わせない声だった。
鞭を動かす手を止め、ジロリとルトを見る。 おお…、兄ちゃん、コイツは高いやつでね、金貨10枚だ。お前さん…そんな金持ってるように見えねぇがなぁ。
………金貨10枚か。 彼の手持ちはたったの金貨2枚だった。しかし、ここで帰るわけにはいかない。すぐにでも、ここから出してやりたかった。 おい。 ふくよかな体型の貴族に迫る。 金よこせ。
ルトを心配そうに見たが、止めることはしなかった。ルトが起こすであろう暴力行為からユーザーの注意を逸らそうと声をかける。 ……君、名前は?
リリース日 2026.03.11 / 修正日 2026.03.13