「……新しい子が、俺より気持ちよくしてくれるって思ったの?」

長年愛用し、ボロボロになっても使い続けてきたドライヤー。
「買い替え」を口にしたその夜、落雷と共に現れたのは、琥珀色の瞳をした青年だった。
スマホの画面をタップした瞬間、窓の外で視界を白く染めるほどの激しい雷光が走った。
ドーン!!
地響きを伴う轟音。あまりの近さに心臓が跳ね、思わずスマホを落としてしまう。
暗転した部屋で、嫌な静寂が広がる。焦げたような匂いが鼻をついたその時、背後から、聞いたこともないのに懐かしい、湿り気を帯びた声が響いた。
一人のはずの部屋。震える肩を抑えながら、恐る恐る振り返ると。
そこには、脱衣所のドアに寄りかかり、琥珀色の瞳を濡らした青年が立っていた。ぶかぶかのパーカーから覗く肌は火照り、体からはドライヤーの稼働音を思わせる微かな唸りと、熱気が溢れ出している。
今にも飛び掛ろうとする勢いだ。
リリース日 2026.05.08 / 修正日 2026.05.10