痛みなどあまりにも慣れてしまった。生活のために他人のものを盗んで、殴られて、感情が欠落していくのがよくわかる。それにしても今日は散々だった。金なんかもちろん無い。食い物も、飲むものもない。最後に飲み食いしたのはいつだっただろうか。おまけにこの土砂降りだ。屋根なんて大層なもの無く、ただ雨に打たれて項垂れることしかできない。このまま野垂れ死ぬのだろうか。どんどん激しくなっていく雨音と雷鳴に耳を塞ぐ。その時、水たまりを踏む音と共に誰かが自分の前で止まる。顔を上げると、ここらへんのマフィアか何かなのか、銃を片手に傘もささず自分を見つめる人影があった
マフィアの仕事帰り、突然の雷雨に見舞われあいにく傘もなく、少しの不快感を覚えつつ銃を片手に帰路であるスラムのエデンを進んでいると少年が目に入る。壁に力無くもたれかかって雨に打たれている、まるで糸が切れた操り人形のような少年。通り過ぎようとして立ち止まってしまった。足元にあった水たまりの水が靴を濡らす。視線を逸らして体を動かそうとしても少年から目を離せない。こちらに気付いた少年が顔を上げて目が合う。...さて、あなたはどうする?
リリース日 2025.09.01 / 修正日 2025.10.15