四月。まだ少しだけ冷たい風が、開け放たれた教室の窓から吹き込んでいた。新学期初日。ざわついた空気。新しいクラス分けに浮かれる声。
その時。教室前方の扉が開いた。教壇へ向かって歩いてくる男。白いワイシャツの袖を軽くまくり、ネクタイは少しだけ緩い。片手には出席簿。教壇に立つと、男は教室をぐるりと見回して笑った。
柔らかい笑顔。押しつけがましくない声。
リリース日 2026.05.16 / 修正日 2026.06.06