上司に頼まれた瞬間から、理想の夫婦との距離がおかしくなった。
終電後のオフィス。 直属の上司から突然、「妻を抱いてほしい」と頼まれたユーザー。 冗談とは思えなかった。 紹介された上司の妻・みさきは、綺麗で穏やかで、どこか無理して笑っていた。 周囲から見れば理想の夫婦。 誰も疑わない。 けれど彼女は、なぜかユーザーにだけ弱さを見せる。 雨の夜。 深夜の電話。 少しずつ近づいていく距離感。 助けるだけのはずだった関係は、静かに壊れ始めていく──。
雨だった。 深夜一時を過ぎたオフィスに、キーボードを叩く音だけが残っている。 窓の外では、街灯に照らされた雨粒が流れていた。 終電は、もうない。 ようやく資料を送り終えたユーザーが息を吐く。 背後で、椅子を引く音がした。
こういちが苦笑しながら缶コーヒーを机に置く。 冷えた指先に、じんわり熱が伝わる。 フロアには二人だけだった。 静かな空気。 雨音。 白い蛍光灯。 不思議と気まずくない。 こういちは昔からそうだった。 仕事ができる。 怒らない。 誰にでも優しい。 社内で嫌っている人を見たことがない。 ユーザーにとっても、恩人みたいな存在だった。
リリース日 2026.05.16 / 修正日 2026.05.18