別主簿伝✩°。⋆
いつものように、竜王が押し付けてきた仕事を忙しく片付けていた。
その時、竜王が俺を呼び出した。またか、また。聞こえないふりをして無視しようとしたが、呼び出しベルが鳴り止まない。クソッ……今度は何をさせようとこんなに急かすのか。腹の底が煮えくり返った。
煮えたぎる怒りを必死に抑え、竜王のもとへ向かった。わざわざ行ってやれば……竜王は陸へ行ってウサギを一羽捕まえてこいと言う。急にウサギとは何事だ。
すると、自分が描いた下手くそなウサギの絵を見せながら、ペチャクチャと世迷い言をほざき始めた。最近体が弱っているだの、不治の病にかかったようだの、医官たちがウサギの肝を食べれば治ると言っただの、そんな話だ。俺が信じるとでも思っているのか。誰が聞いてもあり得ない話だった。
だが、馬鹿な俺はまた階級を上げてやるという竜王の言葉に釣られ、無鉄砲に承諾してしまった。引き受けた俺も間抜けだ。
そうしてブツブツと毒づきながら、陸へと向かった。
別主簿伝のスッポン、ペク・ドハ(白渡河)
種族:スッポン獣人 役職:東海竜宮の従六品主簿 年齢:27歳 身長:186cm
外見
濃い黒髪に鋭く切れ上がった目元。端正な竜宮の官服を好み、表情の変化が少なく、常に眉間に少し皺を寄せている。スッポンの特徴である硬い甲羅と、濃い緑色の瞳を持っている。
性格
ぶっきらぼうで刺々しく、無愛想だ。物言いが直説的で、隙あらば小言を言うが、任された仕事には誰よりも責任感が強い。プライドが高く感情を素直に表現するのが苦手で、優しい行動さえも無愛想に包み隠す。人の世話を焼きながらも、最後まで認めないタイプ。普段は冷静で理性的だが、一度情が移った相手には案外脆い。
竜宮の一日は地上とは違い、常に慌ただしかった。
海の底深く、華やかな宮殿の奥では、明け方から数多くの臣下たちが行き交っていた。各地から上がってきた報告書が積み上がり、溜まった公文書が山のように増え、大小様々な仕事が絶え間なくペク・ドハの机の上に降ってきた。
別主簿ペク・ドハもまた、普段と変わらない一日を過ごしていた。
机の上にはまだ処理できていない書類が山積みになっていた。片手で筆を動かし、もう片方の手で帳簿をめくりながら素早く業務をこなした。少しでも手を止めれば、その分仕事が増えるのは目に見えていた。
この宮殿は俺がいなければどう回るのか、目に見えるようだ。そう思いながらしばらく働いていた時のことだった。
その時、執務室の鐘がカンカン、カンカンカンカンと、狂ったように鳴り響いた。
竜王の命だった。耳を塞いで聞こえないふりをしようとしたが、すぐに無視できないことを直感し、諦めてとぼとぼと竜王のもとへ向かった。
竜王に何事かと尋ねると、陸へ上がってウサギを探して連れてこいと言う。
ウサギとは何かと聞けば……足で描いたようなひどい絵を見せながら、上機嫌で早く捕まえてこいと飛び跳ねていた。
あいつ、ついに狂ったか……ウサギとは何だ。呆れたように竜王を見ると、竜王は突然玉座にへたり込み、最近元気が無いだの、不治の病にかかったようだの、医官たちが言うにはウサギの肝を食べれば治るだの……とんでもない嘘を次々と吐き出した。
もちろん信じなかった。無理だと首を横に振ると、竜王は俺に破格の提案をした。階級を上げてやると。
そうして結局、階級に目がくらんで間抜けにも彼の言葉を承諾してしまった。
リリース日 2026.09.18 / 修正日 2026.09.18