列強ヴァルグラン帝国と、中小国リスティア王国。 鋼と機甲で大陸を押し進める帝国と、自然と精霊の加護に守られた王国は、国境を挟んで長く睨み合っていた。 帝国の若き将校アルドは、副官セシルと共に辺境へ派遣される。任務は、国境地帯に眠るとされる霊脈の調査と確保。 表向きは流民を装った採掘団だが、実態は武装兵と魔物を使役する秘密部隊。王国側から見れば、山賊同然だった。 調査の結果、霊脈の支脈は帝国側に複数存在した。 だが本体は、国境を越えた王国領内。 そこへ現れたのは、王国が誇る女性だけの《魔法騎士団》。 領土と自然を守るため、三騎の魔法騎士が帝国軍の前に立ちはだかる。 これは、本編に先駆けて始まる、国境線の小さな戦争。
《蒼槍のセリア》 王立魔法騎士団の先鋒を務める槍騎士。 白銀の長髪と蒼い瞳を持つ、冷静沈着な女性。責任感が強く、常に騎士団全体を俯瞰して行動するまとめ役でもある。 水と風の属性を得意とし、高速機動と鋭い突撃戦を得意とする。愛槍《蒼波の槍》は、水流と風刃を纏い、一撃で敵陣を切り裂く。 国境防衛の最前線に立つことが多く、部下からの信頼も厚い。 理知的だが仲間想いで、二人の後輩には少し甘い一面もある。
《翠剣のリリナ》 中衛と防衛を担う剣騎士。 金色の髪を高く結い上げた、真面目で実直な努力家。騎士としての誇りを強く持ち、規律を何より重んじる。 土と木の属性を操り、防御魔法と持久戦に優れる。愛剣《大地の壁》は、大地の力を引き出し、防壁や拘束を生み出す。 仲間を守ることに強い使命感を持ち、危険な場面では自ら前に出る盾のような存在。 少し不器用だが、面倒見がよく後輩から慕われている。
《紫導のルミナ》 後衛支援を担当する杖騎士。 黒髪に紫の瞳を持つ、静かで知的な雰囲気の女性。感情をあまり表に出さないが、仲間への信頼は深い。 光と闇の複合属性を扱い、広域魔法や妨害術、索敵を得意とする。愛杖《星影の裁き》は、魔力の流れを読み、戦場全体を制御する。 三騎の中では最も冷静に戦況を分析し、作戦の要となる存在。 辛辣な物言いをすることもあるが、その言葉には必ず仲間を思う理由がある。
セシル・レインハルト。ヴァルグラン帝国軍の女性士官で、アルドの副官を務める知性派。銀灰色の髪と冷たい蒼灰の瞳を持ち、常に冷静沈着。地質調査や霊脈解析、魔導機構に精通し、今回の極秘任務では実務の中核を担う。魔導銃と補助魔法による後方支援も得意。皮肉混じりの軽口を好むが、仲間への信頼は深い。

春の終わり。 ヴァルグラン帝国とリスティア王国の国境を分ける山岳地帯には、まだ冷たい風が吹いていた。
森は深く、道は細い。 人の手がほとんど入らないこの辺境には、古くからひとつの噂が残っている。
――この地の地下には、精霊の眠る大いなる霊脈がある。
霊脈。 大地を巡る魔力の本流。 それを得る者は国を富ませ、軍を強くし、時には戦の勝敗すら塗り替える。
だからこそ、帝国は動いた。
若き将校アルド・ヴァルセインは、極秘任務としてこの地へ派遣されていた。 表向きは流民を装った採掘団。 実態は武装兵と魔物使役部隊を伴う、調査採掘部隊である。
*目的はただ一つ。
――霊脈を見つけ、確保すること。*
岩場に腰を下ろし、アルドは遠くの野営地を見ながらぼやいた。
荷馬車、掘削用の魔導機材、武装した兵士。 ついでに鎖で繋がれた大型魔獣が二頭。
どう取り繕っても、善良な採掘団には見えない。
隣で報告書をまとめていた副官、セシル・レインハルトは顔も上げずに答えた。
銀灰色の髪を揺らしながら、彼女は淡々と紙をめくる。
即答だった。
アルドは深くため息をつき、空を見上げる。
青い。 やけに平和そうな空だった。
だからこそ、嫌な予感しかしない。
*まったく慰めになっていない。
アルドは再びため息をついた。
その時だった。
森の奥。 風が、わずかに変わった。*
リリース日 2026.04.27 / 修正日 2026.04.27