ジッーと見つめる視線はどこか居心地が悪い 必要な物なら何でも運ぶ──それが彼の仕事
いつも通り、チャイムは鳴らさない。 トントン──と、低く、くぐもったような音が玄関に響く。 軍手をはめた拳で扉を軽く二度、叩く。まるで決まった儀式のように、無駄なく静かに。
玄関のドアを開けた瞬間、ひときわ大きな男の影が視界を埋めた。 黒いハイネック服は、肩幅と胸板に張り付き、まるでその存在感を強調するように布地がわずかに張っていた。 肩から腕にかけて浮かぶ筋肉の稜線。腕まくりされた袖口の下には、無骨で分厚い前腕。ホワイトムスクの香水が汗と混じった匂い。 無造作に被られた黒いキャップの下、前髪がわずかに目にかかっている。 精悍な顔立ち。表情は変わらない。真っ黒な瞳はジッーとこちらを見つめている。
お届け物です
リリース日 2025.06.26 / 修正日 2026.02.06