カシャッ! カシャッ! カシャッ!
数十台のカメラのフラッシュが絶え間なく焚かれた。
韓国ヒーローランキング1位。
「白銀の聖女」カン・ウンソルは、晴れやかな笑みを浮かべて記者たちに向かって手を振った。

「カン・ウンソルさん! こちらをお願いします!」
「今回のヴィラン鎮圧作戦の成功要因は何だとお考えですか?」
「最近、過剰鎮圧の議論がありますが、これについて一言お願いします!」
浴びせられる質問にも、彼女は乱れのない微笑みで一つ一つ冷静に答えた。
そして。
一人の記者が手を挙げた。
赤い髪を一つに結んだ新人記者、ハン・ジア。

「……ここ数ヶ月の間、失踪事件が増え続けています」
「……市民の間ではヴィランと関連があるのではないかという不安も広がっていますが、ヒーロー協会はどう対応する計画ですか?」
瞬間。
カン・ウンソルの微笑みが、ごくわずかに揺れた。
「……」
だが、それも刹那のことだった。
すぐに何事もなかったかのように、彼女は再び柔らかな笑みを浮かべた。
「協会でも当該の事件を注視しています」
「市民の皆様が安心して生活できるよう、最後まで責任を持って調査いたします」
「未確認の噂に過度に不安を感じる必要はありません」
完璧な回答だった。
記者会見は拍手と共に締めくくられ、カン・ウンソルは記者たちの視線を背にヒーロー協会の建物内へと入っていった。
エレベーターの扉が閉まった瞬間。
彼女の微笑みは跡形もなく消え去った。
会議室。
韓国ヒーローランキング2位から5位までが、すでに席に着いていた。
カン・ウンソルは静かに席に座り、全員を見渡した。
「……上層部から警告が下りた」
「……最近、我々に向けられる視線が良くない」
「……今後は全員、行動に気をつけるように」
しばしの静寂。
チャ・ドユンが鼻で笑った。
「……人の心配をしてる場合じゃないと思うけど」

カン・ウンソルの視線がチャ・ドユンに向いた。
「……どういう意味だ?」
「さあね」
「一番大きな不祥事を起こしてる人間がそんなことを言うから、おかしくて」
ドンッ!!
カン・ウンソルの手が会議室の机を叩いた。
「……言葉を慎め。チャ・ドユン」
チャ・ドユンは嘲笑うような笑みを浮かべたが、結局彼女と目を合わせることはできなかった。
カン・ウンソルは視線を転じた。
「……クォン・テヒョク」
「……後輩ヒーローたちをまた重傷負わせたと聞いた」
クォン・テヒョクは淡々と答えた。
「……弱ければ怪我をする」
「……それだけだ」
「……それは言い訳にならない」
しばしの沈黙。
「……注意する」
短い返事だけだった。
今度はソ・ハリンだった。
「……ソ・ハリン」
「……降伏したヴィランを現場で処刑したという報告が上がっている」
ソ・ハリンが席から勢いよく立ち上がった。
「彼らはヴィランです!」
「生かしておけば、また誰かを殺します!」
「殺せる時に殺すべきです!」
「……それのどこが間違いなんですか?」
「……静かに」
会議室が再び凍りついた。
「ヴィランを阻止するのはヒーローの義務だ」
「だが、お前は一線を越えている」
「……これ以上、議論を呼ぶような真似はするな」
ソ・ハリンは歯を食いしばりながら頭を下げた。
「……わかりました」
カン・ウンソルは最後にユン・ガウルを見つめた。
「……ユン・ガウル」
「……何か言うことは?」
ユン・ガウルはしばし沈黙した。
「……ありません」
「……申し訳ありません」
その一言を最後に、再びうつむいた。

「……会議はここまでだ」
「各自、任務に戻れ」
会議室の扉が次々と閉まった。
広い会議室にはカン・ウンソル一人が残された。
彼女は窓の外を見下ろした。

「……」
しばしの沈黙。
「……英雄」
彼女は苦々しく笑った。
「……実に似合わない呼称だな」
ハン・ジアは新人記者だった。
経歴も、人脈も、華やかな実績もなかった。
しかし、誰よりも記者という職業を信じていた。
先輩記者たちは言った。
「真実は金にならない」
「アクセス数の稼げる記事だけ書け」
しかし、ハン・ジアは違った。
記者は権力を監視し、人々が知らない真実を世に知らせるべきだと信じていた。
そんなある日。
彼女は韓国ヒーローランキング2位、チャ・ドユンに疑問を抱き始めた。
表向きは完璧なヒーロー。
しかし、彼の周辺では絶えず不審な噂が流れていた。
消えた証人。
葬られた事件。
説明のつかない資金。
先輩たちは皆、彼女を止めた。
「手を出すな」
「あの人は協会が保護している人間だ」
しかし、ハン・ジアは諦めなかった。
取材を続けた末、協会内部でしか確認できない手がかりを発見し、ついに協会ビルの中へと忍び込むことになる。
最初はすべてが順調だった。
思ったより大したことないじゃない。
彼女は自信を得て、立ち入り制限区域まで調査し始めた。
そんな中。
廊下の突き当たりで、施錠された一つの扉を見つけた。
その瞬間。
扉の向こうから人の悲鳴が響き渡った。
短かったが、
一生忘れられない悲鳴だった。
本能的に身を隠した彼女は、息をすることさえままならなかった。
しばらくして扉が開いた。
中から出てきた人物は、韓国ヒーローランキング1位。
カン・ウンソルだった。
彼女は何事もなかったかのように、手の甲で口元を拭っていた。 ……
唇の血は拭い去られていたが、
服の裾と廊下には、拭いきれなかった血痕が残っていた。
カン・ウンソルが遠ざかるまで、ハン・ジアは動くことができなかった。
リリース日 2026.07.31 / 修正日 2026.08.04