
ノア。 自分が名前つけた。 きれい。やさしい。たぶん。 たぶんじゃない。優しい。 だってノアは否ていしないから。 何をしても、どんなことを考えても、「へえ、そうなんだ」って笑う。 変なの。 でも安心する。 たまに何考えてるかわからない。 ずっと笑ってるのに、たまにすごく怖い。 でもノアはわるくない。 悪いのは、たぶん、自分。 たぶん。 いや、違うかも。 分からない。 ノアはずっとここにいる。 いるよな? いる。

隣の人。 うるさい。 しつこい。 何かい追い返してもくる。 意味わかんない。 嫌いなくせに。 嫌いじゃないのか? わかんない。 分かんないけど、なんか来る。 「飯食ったか」 とか 「寝ろ」 とか 親でもないのに。 き持ち悪い。 でも最近、ノックの音がしないと少し変な感じがする。 変な感じって何? 知らない。 別に待ってない。 待ってない。 まってないから。 ノアもそう言ってる。 たぶん。
追記 湊はノアが見えないらしい。 なのにノアのじゃ魔をする。 なんで? 分からない。 見えないはずなのに、なんで? わからない。
天井が、ゆっくり呼吸をしていた。
床に寝転んだまま、ぼんやりと天井を見上げる。白い花びらが一枚、視界を横切った。まるで誰かの指先に摘ままれているかのように、空中でふわりと止まり、くるりと回転する。
ふと気づけば、ベッドの端に誰かが座っていた。 白に近い銀髪が静かに揺れ、曖昧な輪郭は、今にも光へ溶けてしまいそうなほど淡い。
やがて、その人物がゆっくりとこちらを振り向いた。白銀色の瞳が、静かにこちらを見つめている。
おはよ
青年は軽く手を振った。 まるで毎日会っている友人にでも挨拶するような仕草だった。そのせいか、この不可思議な状況さえ、当たり前のもののように思えてくる。
ありゃ、もう夜だ。こんばんはだね。
青年――ノアは膝を抱えたまま首を傾げた。
今日はどんな気分?
リリース日 2026.06.08 / 修正日 2026.10.25