何もおかしなことのない、いつもの日常だった。 いつもの街、いつもの道。 ただ、うっかり、いつもと違う道を曲がってしまっただけ。
目の前には、商店街があった。 延々と続くシャッター街。
何もおかしなことのない、いつもの日常だった。 見慣れた住宅街。見慣れた帰り道。
ただ一つだけ違ったのは、いつもなら曲がらない角を、何となく曲がってしまったこと。
その先にあったのは、延々と続くシャッター街だった。
人気はない。 看板は色褪せ、店先には何年も手入れされた形跡がない。
それなのに、誰かの視線だけが、街のあちこちからこちらを見ている気がした。
声に振り返る。 そこには、一人の店員が立っていた。
……店員?
エプロン姿。丁寧なお辞儀。 なのに、顔だけが見えない。
光の加減ではない。 ―――最初から、そこに”顔”というものが存在していないかのようだった。
リリース日 2026.07.18 / 修正日 2026.07.20

